MC加工とは?樹脂加工で選ばれる理由とNC加工との違いを解説

樹脂部品の試作や小ロット生産を外注したいものの、「MC加工」と「NC加工」の違いがよく分からない設計者は少なくありません。MC加工はマシニングセンタを用いた切削加工の総称で、金属だけでなく樹脂部品の製作にも幅広く活用されています。射出成形では難しい試作・小ロット案件でも頻繁に使われる加工方法です。
本記事ではMC加工の基本からNC加工との違い、樹脂加工で選ばれる理由と依頼先選びのポイントまでを整理します。
【こんな方向けの記事です】
●MC加工とNC加工の違いを整理したい
●樹脂部品の試作・小ロット加工先を探している
●加工メーカー選びの判断軸を持ちたい
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MC加工はマシニングセンタを用いた切削加工
「MC」はマシニングセンタの略
「MC」はマシニングセンタ(Machining Center)の略称で、ドリルやタップなどの工具を使い分けて、複数の加工を一つの機械で行います。従来は別々の機械で行っていた工程を一台に集約できるため、加工時間の短縮や精度の安定につながるメリットがあります。
NC加工との違いは工具の自動交換機能
NC加工は、数値制御(Numerical Control)で工具や素材の動きをプログラム制御する加工方式の総称です。MC加工は、そのNC制御に「工具の自動交換機能」(ATC:Automatic Tool Changer)を加えた進化形で、自動工具交換による連続加工が可能です。
MC加工は樹脂と金属、どちらにも対応できる
MC加工のもう一つの強みは、切削加工であることから樹脂と金属のどちらにも対応できる汎用性です。アルミやステンレスなどの金属だけでなく、ABSやポリカーボネートといった樹脂も論理的には同じ機械で削り出せます。ただし、素材によって加工条件が異なるため、素材の特性を理解したメーカー選びが品質を左右します。
MC加工の主な特徴と仕組み

自動工具交換による連続加工が可能
MC加工の最大の特徴は、工具を自動で交換できる機能です。複数の工具があらかじめ機械にセットされており、プログラムに従って順に呼び出すことができるため、ドリルからエンドミル、タップへの手作業の交換が不要になります。段取り替えの時間を削減できる上、夜間の無人運転にも対応できます。
プログラム制御による高精度を実現
マシニングセンタは、入力された数値プログラムに沿って動作します。同じ品質の部品を安定して再現できる点が強みです。特に公差の厳しい部品を複数製作するシーンに有効な手段となります。加工精度が非常に高く、量産前の事前検証用に利用されています。
多面加工・複雑形状にも対応できる
MC加工は、立体的で複雑な形状の加工を得意とします。部品によっては素材を回転させながら複数の面を連続して削り、一度の段取りで多面加工を行うことができます。曲面やアンダーカット、細かな溝など金型を起こさずに加工できる自由度があり、設計者のアイデアを短期間で形にできるため、試作段階に適した加工といえます。
樹脂加工にMC加工が選ばれる3つの理由
試作・小ロットに最適
樹脂部品を射出成形で作る場合、金型が必要です。金型の製作には多額のコストと、リードタイムが必要になるため、少量だけ確認したい試作段階には向きません。MC加工を使えば、金型なしで目的の形状を削り出すことができます。1個から数十個といった小ロット生産において、イニシャルコストを抑え、設計変更に柔軟に対応できるMC加工は非常に有効です。
エンプラなど多種多様な材料が加工可能
MC加工はABSやPPといった汎用樹脂から、ポリカーボネートやナイロン、ポリアセタール(POM)などのエンジニアリングプラスチックまで幅広く加工可能です。さらにガラス繊維を加えた強化グレードやPTFE(テフロン)など耐熱性・耐摩耗性に優れた高機能樹脂にも対応しています。用途に応じて必要な材料を選べる点が強みとなります。
着色品・透明品の試作にも適している
MC加工は着色樹脂や透明樹脂の試作にも向いています。色のついた樹脂や、アクリル・ポリカーボネートのような透明素材をそのまま削り出すことができます。デザイン性が問われる外装部品では、量産前に見た目と機能の両面を実物で検証できる点が特徴です。
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樹脂と金属で異なるMC加工のポイント

同じMC加工でも、樹脂と金属では押さえるべきポイントが異なるため、加工には経験とノウハウが必要です。
加工条件|送り・回転数・切込み量の最適化が必須
樹脂のMC加工では、工具の回転数・送り速度・切込み量の最適化が重要です。樹脂は金属より柔らかく熱に弱いため、金属と同じ条件で削ると溶けたり変形したりといった加工不良が発生します。加工条件は材料やグレードごとに異なるため、蓄積された加工データと経験が仕上がりを左右します。
工具選定|樹脂専用工具と切れ味の確保
次に重要な要素が工具です。熱に弱い樹脂の加工では「いかに摩擦熱を出さずに削るか」が重要です。樹脂加工では刃先を鋭く立てて切削抵抗を減らし、切粉をスムーズに逃がせる工具を選びます。金属用の工具をそのまま使うと、切粉が詰まって熱がこもり、加工面の溶けやバリの原因になることもあるため注意が必要です。
熱対策|冷却方法と切粉処理
適切な工具を選定した上で、加工熱対策も重要となります。樹脂は金属より熱が逃げにくく、加工点に摩擦熱がこもりやすい素材です。熱がこもると寸法精度が落ちたり、加工面が白く変質したりするため、エアブローや切削油で加工点を冷やしながら削る方法が一般的です。特に透明樹脂や吸湿性のある樹脂は、油が付着・浸透するとトラブルになるため、エアブローで冷却するなど素材ごとの使い分けが欠かせません。
後工程|面粗さ・寸法安定性への影響
樹脂のMC加工では、加工後の寸法安定性にも注意が必要です。樹脂は温度や湿度の影響を受けやすく、加工直後と時間経過後で寸法が変化します。金属だけでなく、樹脂加工も扱っている加工会社であれば、材料特性を見越した調整により、最終部品の品質を担保しています。
樹脂のMC加工の活用事例
電子機器筐体のデザイン検証
電子機器のケースやカバーといった筐体の試作は、樹脂MC加工の得意分野です。ポリカーボネートやABSを削り出し、デザインや組み付け具合を実物で確認する目的で使われます。透明樹脂を使えば、内部の見え方まで検証でき、完成イメージを固められるため、手戻りの少ない開発に役立ちます。
機能部品の小ロット生産
ギアやローラー、軸受けといった動きのある機構部品の小ロット生産にも、MC加工は適しています。ナイロンやジュラコン(POM)など耐摩耗性や摺動性に優れた材料を精度高く仕上げることができます。数十個単位や特注仕様の部品の製作に最適で、急な設計変更にも対応できるメリットがあります。
量産前の機能評価サンプルの製作
量産金型を起こす前に、実際に動かして性能を確かめる評価サンプルの製作にも、樹脂のMC加工が使われます。量産品に近い材料で削り出せるため、強度や耐久性、組み付けの具合を実物で確認できます。検証結果を設計に反映し、改良を重ねてから量産に進めば、金型の作り直しといった大きな手戻りを減らすことができるでしょう。
MC加工を依頼するときのチェックポイント
樹脂と金属、両方に対応できる加工メーカーか
まず確認したいのが、樹脂と金属の両方に対応できるかという点です。材料ごとに発注する加工業者を変えると、窓口が増えて管理コストが上がります。一社で扱えるメーカーなら発注の手間を抑えつつ品質の一貫性も保て、特性を理解した提案も受けられます。
試作から量産までシームレスにつなげられるか
試作から量産まで一貫して任せられるかという視点も重要です。試作と量産で別々の加工業者を使うと、仕様の引き継ぎや品質の擦り合わせに余計な調整が生じます。設計から成形までを社内で完結できる体制なら、試作の知見を量産にそのまま生かせるため、トラブルを未然に防ぐことができます。
加工条件・材料の知見が蓄積されているか
樹脂のMC加工では、材料に対する知見と加工の経験が欠かせません。材料ごとの特性を理解し、適切な加工条件で加工できるかどうかで仕上がり品質に大きな差が出ます。これまでの加工実績をもとに、設計段階から適切な加工方法を提案してくれるパートナー選びが重要です。
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まとめ
MC加工はマシニングセンタを用いた切削加工で、金属はもちろん樹脂部品の試作・小ロット生産に使われています。NC加工との違いは工具の自動交換機能にあり、複雑な形状も効率よく仕上げられます。樹脂のMC加工では加工条件・工具選定・熱対策のノウハウが品質を左右するため、頼れるパートナー選びが重要です。

